社会医療法人 ペガサス 馬場記念病院

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もの忘れと認知症

「えーっと、あの人、あの人、ほらほら・・・」といった感じで、人の名前をすぐに思い出せなかったり、頼まれてたことを うっかり忘れてしまい、あとで「しまった!忘れてた!」となったり・・・、歳を重ねるごとに、こういう"もの忘れ"が増えてきた なあと実感される人も多いのではないでしょうか?

「もの忘れ」と言えば、認知症を連想される人も多いかもしれませんが、実はもの忘れには様々な原因があります。 いくつかもの忘れの原因で代表的なものを挙げてみましょう。

① 加齢によるもの忘れ

ほとんどの人は、20歳前後の頃よりも50歳頃のほうが、走るのが遅くなっているのと同じように、記憶力も歳を取ると 少しずつ低下していきます。これは人も生き物である以上、仕方のない現象と言えます。個人差はありますが、だいたい40歳 くらいから特にもの忘れが目立つようになると言われています。もの忘れが多くなってくると、「いよいよボケてきた のか・・・」と心配される人もいますが、加齢に伴うもの忘れは、あとで説明する病的な(認知症による)もの忘れとは違った 特徴を持っています。それは、「忘れてしまっても、あとできっかけがあれば思い出せる」ということです。冒頭に挙げた、「頼まれてたことをうっかり忘れてしまい・・・」という部分ですが、あとで、「頼んでたやつやっておいてくれた?」と聞か れれば、一瞬思い出せないことはあるかもしれませんが、大抵の場合、「あ、ごめん!うっかり忘れてた!」と思い出すことが できます。こういったもの忘れは加齢によるもの忘れで、もの忘れが多くなっていくペースも非常にゆっくりであり、普通、日常生活に大きな 影響はでません。

② 認知症によるもの忘れ

加齢によるもの忘れとは反対に、何かをうっかり忘れてしまったあと、周囲の人から、そのことを指摘されても、「え?そんなこと言ってた?私聞いてないんだけど・・・」となってしまう場合、こういうことは誰にでもごくまれにはありますが、 頻繁にこんなことが起これば、それは認知症かもしれません。認知症にもいくつかの種類があります。大きく分けると、 アルツハイマー病やレビー小体病やピック病といった進行性のものと、多発性脳梗塞などによる脳血管性認知症に分けられます。 進行性の認知症の場合、現在のところ治すことはできませんが、薬を服用したり、記憶力のトレーニングをしたりすることで、 進行を遅らせることは可能です。脳血管性認知症の場合は、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を合併していることが 多いので、それらの治療や、生活習慣の改善などを行います。

③ 脳外科疾患によるもの忘れ

「最近、急にもの忘れが多くなった」という場合は、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、水頭症などの脳外科疾患の可能性もあります。 高齢になると自分でこけて頭を打っただけでも、頭の中に血腫ができている場合があります。これらの脳外科疾患によるもの忘れ の場合は、CTやMRIで発見することができ、ケースによりますが外科的な処置で改善する可能性があります。

④ うつに伴うもの忘れ

気分の落ち込みや意欲の低下が持続して、日常生活や社会生活に支障が出る状態をうつ状態と呼びます。うつ状態はうつ病をはじめとした、様々な精神疾患でおこりますが、うつ状態になると、考えたり、覚えたりする力が全体的に 衰えることがあります。特に中高年の人がうつ状態に陥ると、もともと加齢によりもの忘れが多くなっているところに、うつが 加わりますので、一見すると認知症かと思えるような深刻なもの忘れが現れることがあります。このような状態を仮性認知症と 呼びます。うつに伴うもの忘れの場合は、うつによる一時的なものですので、うつの治療をすることでもの忘れも改善します。

⑤ 薬によるもの忘れ

睡眠薬や精神安定剤などの薬の副作用としてもの忘れが現れることもあります。特に高齢になると薬に敏感になるため、 少ない量であっても、副作用が出現することがあります。このような場合は、薬の服用を中止したり、種類を変えたりすること で、もの忘れは改善します。
※自己判断による服薬中止は危険ですので、必ず主治医にご相談ください。

以上、代表的なもの忘れの原因について挙げてみましたが、これら以外にも様々な原因でもの忘れが生じることがあります。すぐに治るものから、治癒は難しいものの、進行を遅らせることは可能というものまで、いろいろありますが、いずれにしても 肝心なのは、早期発見、早期治療です。

当院のもの忘れドック

脳神経外科・脳神経内科領域の検査経験が豊富な診療放射線技師および臨床検査技師、神経心理学的検査に強い臨床心理士、そして脳神経外科の専門医でリハビリテーション領域も得意とする統括院長による、万全の体制で行なっています。「最近、もの忘れが気になって・・・」という方は是非一度、当院のもの忘れドックを受診してみてください。

① MRI・MRA・(VSRAD)による画像診断

脳を調べる検査です。これらを用い、脳の萎縮、出血、血管の詰まりなどを調べ、もの忘れにつながるような異常がないかを チェックします(もちろん、もの忘れ以外の脳の疾患全般を見ることができます)。

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② 臨床心理・神経心理学的評価

もの忘れの程度や種類、もの忘れ以外の思考力・判断力などの機能、もの忘れに影響しうる精神症状(うつ状態など)の 有無などを、各種心理検査や、面接を通して判断します。

③ 医師による診察

症状や病歴をお伺いしたり、運動機能や腱反射のチェックなどの神経学的検査、画像診断結果や、臨床心理・神経心理学的検査 の結果などを総合的に分析し、診断を行います。

もし何かの病気だったら・・・
脳外科疾患や認知症であれば、当院の脳神経外科あるいは脳神経内科で治療を受けていただくことができます。うつなどの精神疾患であれば、当院と提携している精神科・心療内科へご紹介させていただきます。 また、当院の臨床心理士 による心理療法(カウンセリング)を受けていただくこともできます。

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