府内屈指の搬送件数を誇る救急と、多彩な職種のスタッフが連携する急性期医療を中心に、集中治療、在宅支援など、さまざまな医療を提供。
それぞれのフィールドで、看護師が活躍しています。
二次救急指定病院として、地域の救急医療を支える馬場記念病院では、24時間365日、多くの救急患者さまが搬送されてきます。救急医療の現場で心がけているのは、救急患者さまをお断りしないこと。スタッフそれぞれが、「もし愛する人が救急搬送された病院に断られたら…」と想像し、断らないための知恵を出し合い、柔軟なベッドコントロール体制や、救急隊の電話を脳神経外科の医師が直接受ける「脳卒中ホットライン」といったシステムをつくり上げてきました。こうした取り組みは、救急隊からの厚い信頼につながり、現在、1カ月平均約600件の救急患者さまを受け入れ、地域の救急医療に大きく貢献しています。
重症患者さまが救急搬送された場合、一刻も早い治療が求められます。救急隊の電話連絡を受けると、看護師は医師とともに待機。患者さまを迎え入れると、すぐさま必要な診療・検査にあたります。看護師には多様な症例に対応する応用力や医師の指示を見越して機敏に動く行動力などが求められます。患者さまの命と向き合う現場は緊張感が途切れることなく、夜勤ではゆっくり休憩をとる余裕がない日もあります。だからこそ仕事を終えたときの充足感もまた格別です。
脳疾患で馬場記念病院に入院される患者さまは、年間約2000名にも達します。そのうち、集中治療の必要な重症患者さまには、SCUにおいて24時間体制で高度な医療を提供。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなどが連携し、治療にあたるとともに、入院間もない時期からリハビリテーションに取り組み、在宅復帰への道を模索します。また、脳梗塞の患者さまには、発症4〜5時間以内で適応条件であれば積極的にt-PA(血栓溶解剤)治療を取り入れています。ただし、t-PAは副作用が強く、緊急開頭血腫除去術の必要な重篤な出血が起こることもあるため、昼夜を問わず、緊急手術が行える体制を整えています。
集中治療の看護は、自分で意思表示できない患者さまが対象。術前術後の患者さまの全身を注意深く管理しながら、小さな異変も感じ取らないといけません。たとえば、t-PA投与後はどんな患者さまも出血傾向となるため、15分置きに血圧と瞳孔などの神経サインをチェックし、患者さまを慎重に見守ります。また、突然の発症で動揺している患者さまとご家族を精神的に支え、患者さまの生活背景を把握するとともに、ご家族のご要望にきめ細かく応えていきます。
医療を取り巻く環境の変化にともない、急性期病棟の平均在院日数は今後短縮化される傾向にあります。こうしたなか、馬場記念病院では、患者さまを早期回復へ導くために、診療科ごとに医師、看護師、薬剤師、リハビリテーションスタッフ、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどが協力し、質の高い医療を提供しています。同時に、短い在院日数のなかで、入院される患者さまとご家族が安心して療養できる環境を整え、治療のみならず、あらゆる面から支援できるように取り組んでいます。また、脳卒中センターと消化器センターでは、患者さまを中心に、医師や看護師らが専門チームを組んで集約的な治療を提供しています。
急性期病棟は、看護配置7:1の体制です。病状の不安定な患者さまに対し、急変を予測・判断し、的確に対応できる専門知識とスキル。そして、疾病へのアプローチにとどまらず、褥瘡予防や痛みの緩和なども含めた全身管理へのこまやかな視点が必要です。また、患者さまとご家族の心に寄り添い、精神的な面から支援することも重要な使命です。できるだけ日常生活に近い環境で安心して療養できるように患者さまを支え、ご家族のニーズに応えていきます。
ペガサスでは、馬場記念病院とペガサスリハビリテーション病院に回復期リハビリテーション病棟を備え、積極的な機能回復支援を行っています。とくに脳血管障害の場合、急性期を脱しても障害の残ることが多く、身体機能を取り戻すための訓練が重要になります。回復期リハビリテーション病棟では、医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカーなどが協力してチーム医療を展開。「回復期リハ在宅連携パス」を用いて患者さまやご家族と目標を共有し、実生活に必要な動作を確認しながら、ADLの向上、寝たきりの防止を図り、速やかな家庭復帰をめざしています。
回復期リハビリテーション病棟では、患者さま中心の看護を提供するために担当スタッフを決め、患者さま一人ひとりと向き合いながら、個別性のある看護を実践しています。回復期の看護で大切なのは、リハビリテーションの推進です。病棟において看護師も、リハビリテーションにつながる看護を提供します。また、身体に障害が残る患者さまの場合、それを受け止めることは大変難しい課題です。そのとき、患者さまの身近な存在としての看護師が精神的に支えていきます。
ペガサスでは、平成19年に馬場記念病院より分離・開設されたペガサスリハビリテーション病院に療養病床を設置。急性期を経て症状が落ち着いてきた患者さまが早く社会復帰できるよう、質の高い医療・看護を提供しています。療養病床では、明るくゆとりのある病室を用意し、できるだけ日常生活に近い療養環境を整えています。また、患者さまの残存能力の維持・向上をめざして個別の目標を立て、専門家によるリハビリテーションを継続して行っています。さらに、法人内の在宅支援機関をはじめ、地域の関連医療機関や保健医療サービス・福祉サービス提供機関と連携を深め、一日も早くご自宅に戻ることができるようお手伝いしています。
長期にわたり入院生活が続く患者さまにとって、ストレスの緩和やADL低下の予防が重要です。療養期の看護では家庭的な雰囲気で、患者さまの心に寄り添う看護を実践するとともに、チームアプローチを通じて、栄養状態の管理や褥瘡予防に力を入れています。また、単にケアするだけでなく、在宅療養に向けての準備も看護師の大切な仕事です。ご家族の方々と密に情報を交換しながら、障害や病気を抱えた患者さまが快適に暮らしていける最良の方法を一緒に考えていきます。
「退院後は、住み慣れた自宅で療養したい」。そう願う患者さまとご家族の気持ちに応え、ペガサスでは質の高いサービスを切れ目なく提供する仕組みづくりに力を入れ、法人内に充実した在宅支援機能を有しています。訪問活動では看護をはじめ、リハビリテーション、栄養指導を実施しています。また、介護保険制度利用のサポートやサービス提供では、ケアプランセンター、デイケアセンター、デイサービスセンター、療養通所介護などを用意しています。このほか、介護型療養病床の廃止方針に伴い新設された介護療養型老人保健施設や、大阪府とのモデル事業であるグループホーム、介護の必要な方が安心して暮らせる高齢者専用賃貸住宅も備えています。
訪問看護では、患者さまのご自宅にうかがい、患者さまが自分らしく生き生きとした生活ができるよう、精神的なケアを含めたサポートを行います。在宅療養されている患者さまは多くの疾患を抱えている場合が多く、幅広い看護知識と技術が問われます。また、独りで看護をしなければならないので精神的にも肉体的にも大変ですが、それだけに人間的に成長できます。訪問看護で重要なのは、介護に携わるご家族を精神的に支えること。さまざまな悩みや相談に応え、より良い解決策を考えます。