社会医療法人 ペガサス 馬場記念病院

診療科・部署紹介

脳卒中担当について

脳卒中は2021年現在、本邦の死亡原因4位、要介護原因1位を占める疾患です(図1.2)。




脳卒中には脳梗塞などの"血管が詰まる"虚血性脳卒中と、脳内出血やくも膜下出血などの"血管が破れる"出血性脳卒中があります(図3)。



脳卒中科では内科的治療、脳血管外科手術(直達=開頭手術)、脳血管内手術(カテーテル)を用いた治療を行うことで、脳卒中からの回復と予防を目指しています。

当院では、脳血管外科手術(直達)では金本幸秀脳神経外科部長と、脳血管内手術では前田一史脳血管内部長と協力しながら患者さまにとって最善の治療を選択し、全力で治療にあたっています。

まずは脳卒中にならないような予防治療が重要ですが、脳卒中かな???と疑った場合にはすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。

脳卒中を疑う3つのサインと時刻が大事
*片方の顔が麻痺する(Face)
*片方の手が麻痺する(Arm)
*言葉の障害(Speech)
*発症時刻(Time)
FAST(それぞれの頭文字を取って)が重要です。

どれか一つでも当てはまる症状がある場合はすぐに受診し、可能な限り早急に検査と治療を受ける必要があります。
FASTを皆さまもぜひ覚えておいてください。



当院は本年度も一次脳卒中センター(Primary stroke center:PSC)コア施設の認定を
受けました(2023年10月)。



PSCコア施設の重要な役割は、発症後間もない脳梗塞患者さんを受け入れ、必要に応じて血栓回収手術を行うことです。
言語障害や手足の麻痺、意識障害などを発症した患者様に対して直ちにCTやMRI検査を行い、太い脳動脈に閉塞があるかないかを確かめ、血栓を回収すべきかどうかの判断をいたします。

PSCに認定されるには以下の要件が必要です(日本脳卒中学会HPより引用)。
1.地域医療機関や救急隊からの要請に対して、24時間365日患者を受け入れ、急性期脳卒中診療担当医師が、患者搬入後可及的速やかに診療(rt-PA静注含む)を開始できる。
2.頭部CTまたはMRI検査、一般血液検査と凝固学的検査、心電図検査が施行できる。
3.脳卒中ユニットを有する(当院は12床の脳卒中専用ベッドを有しています)。
4.脳卒中診療に従事する医師が24H/7D体制で勤務している。
5.脳卒中専門医1名以上の常勤医がいる。
6.脳神経外科的処置が必要な場合、迅速に脳神経外科が対応できる体制がある。
7.機械的血栓回収療法が実施できることが望ましい。実施できない場合には、機械的血栓回収療法が常時可能な近隣の一次脳卒中センターとの間で、機械的血栓回収療法の適応となる患者の緊急転送に関する手順書を有する。
8.定期的な臨床指標取得による脳卒中医療の質をコントロールする。

PSCコアにはさらに以下の要件が必要です(日本脳卒中学会HPより引用)。
1.PSCに認定されていること。
2.日本脳神経血管内治療学会の脳血管内治療専門医と脳血栓回収療法実施医が合計して常勤3名以上であること*。
3.血栓回収治療実績が年間12例以上あること**。
4.自施設において24H/7Dで血栓回収治療に対応可能であること。
5.脳卒中相談窓口を設置すること。

*現在、当院には脳血管内治療専門医と血栓回収実施医が合計4名在籍しております。
**年間の血栓回収症例数は30-40例です。


実物大3Dモデルを用いた手術支援を開始しました

脳動脈瘤や頚椎症の手術前に3Dプリンター(写真.1)用いて実物大3Dモデルを作成し、活用する試みを開始しました。今までは平面の画像(2D画像)を見ることで、医師が頭の中で立体的にした画像を想像しながら治療していましたが、実物大3Dモデルを用いることで実際の形状がより正確に把握できるようになりました。

作成にはCTスキャンやカテーテルでの実際の患者様の検査データを使用します。それを放射線技師が専用のソフトを用いて加工したものを3Dプリンターに転送することでモデルの作成が可能となります。

活用方法ですが、脳血管内治療の領域では、脳動脈瘤に誘導するカテーテル誘導の参考にします。また、開頭手術の領域では周囲の血管と動脈瘤との関係やクリップのサイズ選択などの参考にします(写真.2、黄色矢印が動脈瘤)。また、頚椎や腰椎病変では術中に削除するべき骨の位置確認、削除範囲の決定に有用です。今まで以上に安全な手術が行えるようになると思っております。


写真.1(日本3DプリンターHPより引用)

写真.2(脳動脈瘤モデル;黄色矢印が動脈瘤)

写真.3(頚椎症モデル;第2-6頚椎を示す)


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