腹腔鏡手術Q&A
- 質問1:腹腔鏡手術ってなんですか?
- 腹腔鏡とはお腹の中をみる内視鏡のことです。お腹に数か所の小さな穴を開けて、胃カメラと同じ仕組みのスコープと特殊な器具を挿入して行う手術のことです。炭酸ガスを入れてスペースを作り、お腹の中(腹腔内)をモニター画面でみながら様々な操作を行います。
- 質問2:腹腔鏡手術にはどのようなメリットがありますか?
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傷が小さく、スコープで病変部を拡大できるので、次のようなメリットがあります。
- 手術の傷が目立たず、美容上優れます
- 術後の痛みが軽減されます
- 治りが早く、入院期間が短くなります
- 早期に社会復帰できます
- 術後の癒着が少ないといわれています
- 細かい操作ができるので、出血が減ります
- 質問3:腹腔鏡手術のデメリットと限界は?
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開腹手術と較べて時間がかかりますが、安全に行えれば、デメリットはありません。ただし限界もありますので、そのような時は、開腹手術に変更して対処します。主な開腹手術への変更の理由は以下の通りです。
- 手術中に予期できない出血があったとき
- 強い癒着があり、安全な手術ができないとき
- 腸などの他の臓器が傷つき、その補修に手指による手技を要するとき
- 質問4:どんな病気が腹腔鏡手術で治療できるのでしょうか?
- 胆嚢摘出術(胆石症など)、鼡径ヘルニア、虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔、クローン病、潰瘍性大腸炎などの良性疾患をはじめ、胃癌、大腸癌、肝癌、などの悪性疾患まで、幅広く、積極的に腹腔鏡手術を行っています。
- 質問5:腹腔鏡手術の合併症にはどんなものがありますか?
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おなかを炭酸ガスでふくらませて手術を行うために起こりうる特有の合併症があります。
- 下肢静脈血栓症、肺塞栓症
足の静脈に血栓(血液のかたまり)ができることを下肢静脈血栓症、また、血栓が肺にとんで、肺の血管につまることを肺塞栓症といいます。肺塞栓症は致命的な場合がありますが、その発生頻度は0.1%程度と言われています。当院では、予防ガイドラインに則って、予防に努めています。 - 高炭酸ガス血症
血液中の炭酸ガスの濃度が高くなることがあります。そのため、手術中に不整脈を起こすことがあります。その対策として、呼気中や血液中の炭酸ガス濃度をみながら手術を行います。また、極めてまれですが、血液中に炭酸ガスが入り込んでガス塞栓を起こす場合があります。 - 心臓、肺への負荷
腹腔内圧、気道内圧が上昇し、循環血液量が減少するため、心臓や肺に負担がかかります。術前検査で心肺機能に異常がないかチェックし、手術中は腹腔内圧、気道内圧を測定しながら手術を行います。 - 術後肩痛
手術を受けた方の3割程度に起こりますが、軽度で数日で消失することが多いです。
- 下肢静脈血栓症、肺塞栓症